移転を余儀なくされたBAYSIDE RPCキャンパス
フィリピン、セブ島で私が開校した語学学校BAYSIDE ENGLISH CEBUには、二つのキャンパスがありました。
6500坪、最大学生数250名の大キャンパス RPCキャンパス。
そして、海辺のリゾートホテルを改造した最大学生数50名の小キャンパスであるプレミアムキャンパスであります。
BAYSIDE ENGLISH CEBU RPCキャンパスは、併設する現地私立学校 Regent Pacific College の韓国人オーナーミスター金より、キャンパスを賃貸していました。
また、韓国人オーナーミスター金もフィリピン人の土地オーナより土地を賃貸していました。
すなわち、Regent Pacific College のオーナーミスター金は、フィリピン人に土地のみを借り、そこに学校建物を建てたのです。
そして、土地と学校をBAYSIDE ENGLISH CEBUに又貸していたのです。
Regent Pacific College ミスター金とフィリピン人土地オーナーの賃貸契約は2019年3月に満了となるのです。また、土地オーナーの話によると、すでに賃貸契約満了後は中国人によりRegent Pacific College の土地購入の予定があるとのことでした。
従って、BAYSIDE ENGLIH CEBUは、遅くても2019年までにはRPCキャンパスから移転しなくてはいけないことが余儀なくされていたのです。
土地探しのアンテナ
私は常にマクタン島でのRPCキャンパスの移転先である土地や建物を見つけるためのアンテナを張っていました。
セブ島で営業する日本人経営の不動産業界に相談するのも良いのですが、価格は10倍近くにも高騰するのです。
それは、クリアな土地(問題のない土地)であることと、そして、土地購入者に届くまでに多くの仲介業者を介しているから高額となるのです。
フィリピンセブ島やマクタン島には、立地条件の良い場所であっても手がつけられていない土地が数多く存在しています。
例えば、ビルが立ち並ぶ街中にぽっつんと空いている土地が存在するのです。それは問題のある土地だからなのです。
プレミアムキャンパスのように借金の担保になっている土地。
土地の権利を主張し裁判になっている土地。
土地の所有者がすでに何十年も前に亡くなり、家族何代にもわたり相続され土地所有者が何十人にもなる土地。
そして、誰が土地所有者であるさえもわからなくなっている土地もあるのです。
また、土地の権利書さえない土地も数多く存在しています。特に田舎に行けば権利書のない土地が大半を占めているのです。
どうして土地権利書がない土地が存在するのかというのは、土地の権利書というシステムができたのも、日本でも有名なマルコス大統領が政権を握ってからであるのです。
土地権利書のシステムができてまだ50年も経ってないのです。
権利書のない土地は、土地の納税証明で土地所有者であることが証明されるのであります。
クリアでない土地(問題のある土地)はクリアにすればいいのです。問題を解決すればいいのです。
そして、BAYSIDE ENGLISH CEBUには、それらができる知識のあるフィリピン人経営軍がいたのです。そして、団結結束力があったのです。
土地をクリアにするとは、どういうことなのか?
例えば、プレミアムキャンパスの土地のように借金の抵当に入り裁判所で差し押さえになった土地を低価で手に入れたければ裁判所のオークションを探せばいいのです。
そのために、フィリピンローカル新聞を定期購入し右腕アドミンヘットと左腕ドイにオークション広告から情報を入手するよう指示をしていました。
実際に何件かはオークション広告より視察にもいきました。
土地の所有者がわからなくなっている土地は、弁護士に依頼すれば家系図から所有者を割り出すことができるのです。
代々遺産相続税を払っていない土地は、立て替えて支払えばいいのです。そして土地購入費から差し引けばいいのです。
土地権利書のない土地は、土地権利書を作ればいいのです。
測量士に土地の測量図の作成を依頼し、それをDNER(日本の政府機関環境省と同じような機関)に持って行き権利書作成の手続きをすればいいだけです。
日本人仲介業者からクリアな土地(問題のない土地)を購入する資金を考えれば何十分の一の価格で土地を手に入れる事ができるのです。
時間も手間もかかることではあります。
しかし、フィリピンには時間と手間に時間を費やすことができるマンパワーが豊富なのです。
大切な事は、フィリピン人と外国人がお互いに信頼できる関係にあるかということだけであります。
また、フィリピン人の中には、代々から相続した資産価値の高い土地はあるにもかかわらず、現金がないというケースがよくあるのです。
例えば、病院に支払う現金がないというケースです。家族が重い病気や事故にあったとします。現金のない彼らは富裕層のみが入っている民間の医療保健にも入っていないことがほとんどであります。現金がなければ治療できないフィリピンの医療現状があるのです。
そして、フィリピンには、仕事より何よりも家族を大切にする国民性があります。そのため、緊急に土地を売却するのです。急いで売却しようとすればするほど価格設定は当然低くなってくるのです。
交渉もしやすくなるのです。
そして、それを購入できるのはすぐにでも現金で支払うことができる者だけに限られるのです。このようなケースが数多くあります。
そんな情報をキャッチするために大切となるのは地域との良好な関係であります。
また、セキュリティガードやトラシクルドライバー等も、情報入手に大きく貢献できるのです。
例えば、フィリピンで空き土地を放棄しておくと不法侵入者がベニア板等ですぐに家を建てます。一度住み着いてしまうと撤去するのは至難の技であるのです。
私が大阪城公園横の看護協会に通っていた20年ほど前、大阪城公園の中には多くのホームレスたちがダンボールやベニア板で作った家が存在していました。それと同じようなものです。
そして、貧困層の人口に比例してなのか、不法侵入者の数は大阪城公園の何十倍となるのです。
従って、土地オーナーやその相続者達は空き土地であってもそこに、セキュリティーガードを配置させるのです。
そして、セキュリティガードはその空き土地の窓口になるのです。
土地を購入するために訪れた者は、セキュリティーガードを窓口に情報を聞く、そして急いで土地を売りたい土地所有者もセキュリティガードを窓口に情報を発信するのです。
マクタン島で事務所を構えるセキュリティガード会社のマネージャーともよく食事に出かけました。そして、有効な情報の随時報告をお願いするのです。
大きな力を持つ情報の運び屋トラシクルドライバー
そして、地域の情報を運ぶのはトラシクルドライバーであります。
トラシクルというのは、モーターバイクにサイドカーがついた乗り物であります。
現地の人の交通手段として使われています。
彼らは地域のいろいろな場所に人を運びます。
空き土地に売り物件という張り紙も目にするでしょう。そして、話に聞くのです。
彼らは100人単位の組織で自分たちの縄張り組織を作っています。
それは、市役所にも登録されている認められた組織となっているのです。
そして定期的集会も開催されるのであります。そこで情報交換がされるのです。
また、彼らの集団は市長選挙や町長選挙の際に大きな力を発揮するのであります。なぜならば、組織のリーダーの一声で大人数の票が動くからであります。
余談ではありますが、マクタン島には二つの街があります。
一つはBAYSIDE ENGLISH CEBU RPCキャンパスとプレミアムキャンパスのあるラプラプ市。
そして、もう一つは、セブ島とマクタン島を結ぶ橋が架けられる予定地であり発展が期待されているコルドバ市です。
私達が 1、1ヘクタールの土地を購入したのはコルドバ市であります。
フィリピンは、ほとんどがカトリック信者であります。そして一部のイスラム教徒が共存しています。
ラプラプ市長は、市長選挙への投票を引き換えにイスラム教徒にトラシクルの運営を許したのです。
何百人にも及ぶイスラム教徒のトラシクルドライバー達がラプラプ市に流れてきました。
そして、彼らの組織は市長選に大きく貢献するのです。
トラシクルドライバーの組織は選挙票を左右できるのです。
それくらい、マクタン島にとってトラシクルドライバーの組織リーダーの力は大きいのです。
そして、BAYSIDE ENGLISH CEBUの私の片腕ドイの兄は、コルドバのトラシクルドドライバーを総括するリーダーであったのです。
新学校のコルドバの土地の情報収集と町長や市長、市会議員や地域へのつながりはそこから作っていったのです。
フィリピンで土地購入
2013年に、私は個人でフィリピンに二つの土地を購入しています。
一つは、セキュリティーシステムの充実した現地ではビレッジと呼ばれる高級とはいかないも、高級下の住宅街にある庭付一軒家です。
外国人やフィリピンの裕福層たちが住むビレッジの土地価格は、フィリピンの土地価格に比べるとかなり高価であります。しかし、日本と比べるとかなり低価格であります。
フィリピン人女性に恋をしたオーストラリア人の年配男性が彼女と住むために土地を購入し家を建て生活をしていました。しかし、彼女の浮気が発覚、心が傷ついた彼は、すぐにでもオーストラリアに帰るということで、1週間以内に現金を支払うとの約束でかなり低価格で購入したのです。
リオと私が住む新築庭つき自宅を手に入れることができたのはラッキーでした。
もう一つは、フィリピンセブ島の南部の田舎の海に面した土地であります。
田舎の土地は、ほとんどといって土地の権利書が無いのです。納税者の名義変更をする事で土地の名義は変更となるのです。土地の権利書が無い分、土地価格は低価となります。
私は、将来、両親が年老いた時にそこに呼ぶ予定で購入したのです
フィリピンの法律では、海から10メートルの範囲の土地は権利書が作成できないのです。しかし、その土地の一部でも海から10メーター以外の土地があれば、その部分から土地権利書が作成できるのです。
そして、フィリピンのおかしな法律でもありますが、海から10メートル以外の土地で土地権利書を作成したのち、延長した土地として、海までの10メートルを含むすべての土地の権利書が作成できるのです。
ある意味、フィリピンの法律の抜け穴なのです。
そして、私は抜け穴を使って土地権利書を作成しました。
フィリピンの法律では、外国人は土地を購入できません。
フィリピンで土地の購入するのみならず、ビジネスをするにあたって、絶対的に信頼できる(信頼関係が保てる)フィリピン人ビジネスパートナーの存在は必須と言えるでしょう。
私は、信頼できるフィリピン人ビジネスパートナーと共に土地を購入してきています。そして、さらに安全のため、信用できるビジネスパートナーのフィリピン人との間に、土地を担保にした借金契約(モーゲージ契約)を結ぶのです。
建物は外国人での名義で所有することは可能であります。ところが、建物の名義主であってもフィリピンの法律では、裁判になれば土地を所有するものが建物の権利を取得できるのです。
それも、おかしな法律であります。
夢の新学校開校のため、広大な土地を購入
2015年夏、トラシクルドライバーからの情報をキャッチしました。
コルドバに約7,000スクエアメーターの土地が売りに出ているとのことでした。
土地の権利書に記載している所有者はすでに亡くなっています。土地は3代目、4代目の家計まで相続されています。相続等の手続きもされていないのです。
90歳になる家系図2代目にあたる土地の相続者は病気で危篤状態となっていました。メインに土地を管理する家計図3代目のその娘は父親の治療費のためにすぐにでも土地を売りたいとのことだったのです。
私たちはすぐに裁判所にて土地の権利書のコピーを入手した。土地は借金の抵当(モーゲージ)に入っていないことを確認しました。
問題は、すべての遺産相続者の契約書へのサインと、土地の相続手続きがされていないことでありました。すなわち、3代にも渡る相続者全員の契約書へのサインもしくは委任状を集めなくてはいけないのです。
それは、簡単なものではないのです。3代目まで分割された土地権利者は20人以上にも及ぶのです。
日本の少子化とは違いフィリピンでは多くの子供を産みます。そして、その子供達もまた多くの子供を産み相続者の人数は膨れ上がるのです。
そして、フィリピン人たちは、家族の生計を立てるために海外や各地に出稼ぎに出ていきます。そこで家庭を持ち永住している者もいるのです。
土地を相続した土地権利者の全員の委任状、もしくは契約書へのサインが必要になるのです。
しかし、BAYSIDE ENGLISH CEBUには、全てのサインを集めることができる地域のコネクションと、その手続きができる経営軍がいたのです。
また、土地を管理するメイン権利者も父親の治療費のための緊急に現金を手に入れる必要があったのです。土地名義変更の諸経費を彼女に貸し彼女も契約書のサインや委任状の収集に動いてくれました。
手続きとすべての委任状を集めるのに3ヶ月以上経過しました。
コルドバに購入した7,000スクエアメーターの土地はメインの道路に接しています。メイン道路に接した土地を抑えればその裏に位置する土地も必然的に手に入りやすくなるのです。
メイン道路の土地のオーナーは、その裏の土地に人が住む場合は人が通れる最低でも1メートル幅のメイン道路までつながる土地(ライト オブ ウェイ)を提供しなければいけないという法律があります。
メイン道路に接しない土地を持つものにとって、1メートルの道路を提供されてもメイン道路に接していない土地を売却する事は難しくなるのです。
すなわち、必然的に私たちに売却するしかなくなるのです。
そして、7、000スクエアメーターの土地につながる裏の土地2件も購入していったのです。
土地の大きさには関係なく一つの土地には、多くの相続者(所有者)が存在するのです。それら、すべてをクリアにするのに半年は経過しました。
左腕ドイは契約書へのサインをもらうためにフィリピンのミンダナオ島ダバオまでも飛んだのです。
土地を購入、地域で学校を建設するためには、地域と連携していくことが重要であるのです。
さらに、現地フィリピン人学生をも対象にした現地政府認定学校を開校するのでであれば、なおさら地域とのつながりはさらに大切なものとなってくるのです。
そのためには根回しも大切となってくるのです。私は、そのことを、現地私立学校Regent Pacific College を経営するミスター金より学びました。
2016年、フィリピン大統領にドテルテが就任しました。
そして、将来的に開発か期待されるコルドバ市長はドテルテ大統領のアドバイサーとしてマニラに旅立って行きました。
地域の噂では、コルドバ市長は麻薬や汚職に関係がほとんどない市長であることから、大統領のアドバイサーに選ばれたということでした。
その際にマニラで就任セレモニーが開催されました。
私達は、市長はじめ10人の市会議員にマニラまでの飛行機チケットと、マニラへのホテルをお祝いとしたのです。
そして、土地購入手続き等にコルドバ市長や町長の助けが大きな力となったのです。
また、次に進められる学校建設や、政府認可学校の認定証の取得にも彼らは大きくかかわってくれたのです。