フィリピンの落とし穴に落ちた日本人
リオの病院滞在中、私が30歳前後の看護師時代に3回訪れたドマゲッティのダイビングショップが懐かしくり、ダイビングショップの日本人オーナー藤田さん(仮名)にフェスブックを通してコンタクトを取りました。
ドマゲッティのボリバー近くの海沿いの小さなリゾートホテルの一角のダイビングショップは藤田さんとフィリピン人の妻で営まれていました。
微笑ましいほど仲の良い夫婦でありました。当時、藤田さんは60歳のダイバーでした。60歳とは思えない筋肉質な体つき、白髪、ダンディ、おしゃれ、とにかくカッコイイおじさんでした。
藤田さんのダイビングショップは、多くの日本人ダイバーで賑わっていました。
ドマゲッティより海沿いに車を走らせると、ダウインという町があります。そこには、西洋人ダイバー達が多く滞在する数件のリゾートホテルが隣接しています。
藤田さんは、そのダウインにリゾートホテルを建設しているから遊びに来てよとよく言っていました。
藤田さん夫婦との再会、そしてダウインのリゾートホテル滞在を楽しみに藤田さんとドマゲッティの街で会う約束をしました。
ドーナツショップでの待ち合わせでした。10年ぶりの藤田さん夫妻との再会に私はワクワクしていました。
ドーナツショップで藤田さんを待っていると、ガリガリに痩せ破れたTシャツを着た日本人老人に声をかけられました。
藤田さんだったのです。
以前のダンディ藤田さんから想像を絶するものでした。
藤田さんは、ダウインでリゾートホテルをオープンさせた後、フィリピン人の奥様を脳梗塞で亡くしたのです。
外国人はフィリピンの土地は購入できないのです。
そのため、藤田さんは奥様名義で土地を購入しリゾートホテルを建設したのです。奥様の死後、家族達は遺産相続として土地の権利を主張し裁判となりました。
裁判はすでに3年経過しているそうです。藤田さん夫妻の夢のリゾートホテルは、奥様の家族によって封鎖され入ることができないとのことでした。
フィリピンでは、藤田さんのようなケースをよく耳にします。
フィリピンの落とし穴であります。
後に、私もフィリピンの落とし穴にはまることになるのです。
また、その後の後には、私は日本人によって作られた奈落の底までに深く汚い落とし穴にはまることになるのです。
その時は、そんなになるなど想像もしませんでした。
ただ藤田さんを哀れみました。